時事メガネ

気になった時事問題を少し追ってみる

カジャ・ニン「私たち全員を殺すことは出来ない」

 

 

先週ブルンジについて調べている中で、ブルジア人セレブ、カジャ・ニン、反大統領派のグループに参加という記事がありました。アフリカ連合サミットで彼女は、より強い外交圧力を呼び掛け、ロイターのインタビューには、欧州連合アフリカ連合より先に行動を起こすべきではないという意見を述べています。そして、もしそうなればアフリカ大陸の恥であり、アフリカ連合が形骸化してしまう、とその理由を挙げました。

これは、アフリカ出身者の話として興味深いものです。前回、前々回と、西欧諸国が西欧的思考様式、行動方式で他国に介入することが、問題を孕む可能性があることを述べました。ヨーロッパ人が恥という言葉を使う時は、例えば自国が困難にある人々を助けないというような場合です。介入の順について恥と表現するということは、面子のようなものが重要な意味を持っているということでしょうか。

ニンは、南アフリカ放送協会のインタビューでは、どれだけの国や著名人が三選を不当なものとしているか、どれだけの人々が地域の平和を確立する為に尽力してきたかを述べ、「私たちを殺すことが出来ても、私たち全員を殺すことは出来ない」と、大衆の意思が暴力に勝るであろうことを訴えています。

 

カジャ・ニンはブルジア人歌手と書いてありましたので、早速インターネットでCDを購入しました。ブルジアの歴史について少し調べたばかりですから、音楽や歌詞がより重みを持ってきます。その中から一曲、「サンボレラ」をご紹介します。ブックレットには歌詞の英訳もついて居ましたが、ところどころ分かりづらかった所は意訳しました。しかし元の言語が全く分からないので、誤って理解している部分もあるかもしれません。題名は“sambolera mayi son“、この訳でもう躓きましたが、サンボレラが固有名詞だと思われますので、これを人名とし、mayiとsonは、歌詞中の他の部分を一語ずつ照らし合わせるとmayiは英訳に反映されておらず、sonはsonのまま残してあります。そこからmayiは何か感嘆詞のようなもの、sonは息子の意と推測しました。そこで、戦争を起こす権力者である「彼ら」の身勝手さと、戦争の無意味さ、それでも強く生きて行くということを、息子のサンボレラに語りかける形で、歌ったものと考えました。

私が一番感動した段落が、日本語の語順だと台無しになりますので、横に英訳を引用しました。

 

 

 

 

サンボレラ

 

この世界は作り物だ

私たちの世界は狂っている

この世界の人々は

自分たちに嘘をついている

彼らは神ではない

彼らは人間にすぎない

あの悪意ある人々は

思いやりのかけらも無い

自分たちの事ばかり話している

そんな人たちが世界を手にしている

 

もしそれが神の意志ならば  

彼らもあなたの事を忘れていないはずだ

あなたに試す為の

機会を与えるはずだ

神を前にして彼らはなんと答えるのだろう?

肌の色の為に、神の為に、心を殺したときっと答えるだろう

 

どの神の為の戦争?          War in the name of which God?

どの色の為の戦争?          War in the name of which colour?

戦争は血の色             War the colour of blood

そこにはたった一つ、血の色しかない  There is only one colour of blood

 

多くの血が流れすぎる

彼らは生きることを堪え難いものにしてしまう

たった1人の人間の意思が

戦争を引き起こす

彼らは話していればいい

あなたの人生は続いていく

彼らただ話し続ける

でも心よ、諦めてはいけない

耐えなければならない

賢くあらなければならない

この狂気に怯えて生きていてはいけない

 

 

 

・・・・・・

 

〈参考〉

 

http://www.reuters.com/article/2015/06/12/us-burundi-politics-idUSKBN0OS1U820150612

http://www.sabc.co.za/news/a/475e190048b890daa43abf1447fc6207/Burundis-Khadja-Nin-joins-anti-Nkurunziza-ranks-20151206

http://www.khadja-nin.com

https://www.youtube.com/watch?v=NAY5Ai2quKY