時事メガネ

気になった時事問題を少し追ってみる

イエメン情勢

 

先週は邦人が巻き込まれたこともあり、チュニジアでのテロ事件が大きく取り扱われていたが、イエメンではより大規模のテロが発生した。

イエメンに関しては、中東情勢に詳しい方などがしばらく前から一部報道で警鐘を鳴らしていたが、日本人にとってはどちらかと言うと馴染みの薄い国ではないかと思う。なぜそう思ったかと言うと自分がよく知らないからというだけなのだが。イエメンについての基礎知識をインターネットで調べていた中で、短いながらも大変面白かったのは田中陽子氏の記事だ。現地滞在に基づいた記述ということで、大変興味深く読ませていただいた。

http://jasps.org/tanaka3.html 

 

歴史についてざっと眺めるにはBBCのプロファイル-タイムラインが見やすかった。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-14704951

 

 

背景

 

イエメンが今年に入って注目されるようになってきたのは国内の政変に加えて、アメリカとの緊密さが挙げられる。在イエメン米軍基地は、中東における対テロ作戦の拠点の一つとなってきた。

 

イエメンの最近の政変を時系列でまとめると

2014年 9月 フーシ反体制派がサヌアを支配下に

2015年 1月 アブド・ラッボ・マンスール・ハディ大統領が辞意を表明。フーシ反体制派が政府の実権を掌握

   1月中旬 フーシ反体制派によるハディ大統領及び政府高官の軟禁

   2月下旬 ハディ大統領、サヌアを逃れ南部港町アデン(国内第二の規模・南イエメン共和国時代1967~1990の首都)へ

 

20日金曜日の自爆テロは、2カ所のシーア派モスクで発生し、140人以上の死者を出した。被害者の大部分はフーシ反体制派。首都の政治的混乱を利用して、宗派同士の衝突を煽ることが目的と見られている。自爆実行犯は4名。イスラム国イエメン支部(スンニ派)が声明を出すも、その信憑性は不明。同じ金曜日、南部ラハジ県では、県庁や警察庁がアルカイーダ系の武装勢力に攻撃され、対する治安部隊と衝突した。さらにアルカイーダ系戦闘員を多く含むハディ氏支持の民兵組織が米意軍基地を襲撃。金曜夜~土曜未明には同ラハジ県アル=アナド(ここを拠点とする米軍は武装勢力の掃討を目的としていた。)に残っていた軍人、及び米軍によって育成されたイエメン対テロ特殊部隊も国外退避。5億米ドル相当の武器・装備等の行方については不明(略奪されたものと考えられる)。

 

21日

フーシ反体制派はハディ大統領を支持する全ての戦闘員や団体だけでなく、国内のスンニ派アルカイーダとの戦いを命じた。

これに対して大統領は逃亡後初めてのテレビ演説でアデンを首都と宣言、反体制派との対決姿勢を明確にする。

 

22日

反体制派がタイズ(アデンから150km、国内第三の規模)の空港を制圧。

反体制派はアラブの春で失脚したサレハ元大統領の支持者にも連帯を呼びかけている。

イエメンの国連特別大使ジャマル・ベノマール氏フーシ反体制派、ハディ大統領のいずれにしても、イエメン全国を統制下に置くことは出来ない。(そのことを受け入れず対立し続ければ)イラク、シリア、リビアのような長期的紛争状態に陥ることになると警告。

 

23日

ハディ氏、湾岸諸国に介入(軍事的援助)を呼びかける、国連安保理には飛行禁止地域の設定を期待(制圧された空港の使用を阻止したい)

 

25日 

フーシ反体制派、アデンに進軍、ハディ大統領は大統領宮殿を離れる(船でジブチに向かったと推測される)、これにより国内4大都市がフーシ反体制派の管理下に入った。

サウジアラビア湾岸協力会議GCC)加盟国などとの軍事介入を宣言。アメリカもこれを支持・支援。

 

26日

サウジアラビアなど10カ国による空爆の開始。市民の犠牲者も多く出ている模様。イランはこの空爆を、状況をより複雑化させ危機を拡大するものと批難、即時停戦を要求。

サウジアラビア+9カ国の戦力:地上部隊15万人(サウジ)、戦闘機は100機(サウジ)+30機(UAE)+15機(バーレーン)+15機(クウェート)+10機(カタール

フーシ反体制派+サレハ元大統領支持のイエメン軍部の戦力:5億ドル相当の戦闘機、戦車、その他武器(過去数年にアメリカから入手)

 

27日

空爆の継続。既に市民の死者が39名出ているとの報道。

国連職員やアラブ複数国外交官の国外退避。

 

28日

空爆の継続。

エジプトでアラブ連盟首脳会談:サルマン国王長期戦の構え。ハディ氏(サウジに滞在していた模様)はイランを批難。

 

 

疑問

 

スンニ派とシーア派の衝突煽動が先週のテロの目的だったとして、誰が特をするのか。

 

・IS

犯行声明の真意はさておき、米軍の一時撤退、世界的ニュースによる宣伝効果

・サレハ元大統領

反ハディ。権力の奪還を前提に、イエメンを全面的な内戦状態に陥れ、敵対するスンニ派の保守勢力とフーシ派の両方を弱体化させようとしているといわれる

・フーシ反体制派 

南部進攻の大義名分獲得、テロの関与が疑われる対立組織の不当性アピールが、フーシ反体制派支持や戦闘員獲得に繋がる

・アメリカ

そもそも対米組織であるイエメン過激派が国内紛争に方向転換、紛争が激化すれば最終的に対イランという目的を共有

 

そしてスンニxシーア構造は周辺国も巻き込み、代理戦争と揶揄される軍事介入が始まった。

 

サウジアラビアのサルマン国王とその息子で防衛大臣のモハンマドはイランに対して弱腰という批判を受けていた。役務について二ヶ月目のこの二人にとって、空爆は強硬姿勢アピールの機会

・今後もイランによる直接的軍事介入はないと予想されている。シリアとイラクという、イランにとってより重要な国家での課題があるため

 

 

テーマ

 

結果的に、各方面・各派にとって利害が発生したと考えると、結局誰が裏で関わっていたとしても不思議ではないかも知れないなどと邪推してしまう。誰が何の目的でスンニ派とシーア派の衝突を煽っているのかはさておいて、日本生まれ無宗教育ちの筆者にとって理解が難しいのは、この宗派対立の心理構造だ。様々な国で、また国家間で発生する(させられる)このスンニ×シーアの対立に、和解の道はあるのか。

 

スンニ派とシーア派、また他にイバード派など、様々な宗派への分裂はカリフ(宗教的・政治的指導者)の選出方法に由来しており、スンニ派やシーア派の内部でも法学解釈の仕方によって更に複数の法学派、マズハブに分かれる。イスラム教徒の80~90%という大部分がスンニ派に属する。今回サウジアラビアとともに軍事介入をしている湾岸協力会議もその加盟国の殆どがスンニ派だ。逆にシーア派が多数を占める国家はイラン(92%)、アゼルバイジャンバーレーン(各70%)、イラク(60%)となっている。

宗派による信仰内容に違いもあるものの、基本的な信仰態度に大きな違いがある訳ではない。なぜ指導者選出の方法がそれほど重要になってくるかというと、イスラム共同体をまとめる為であるというのだから、宗派対立は皮肉だ。

 

イエメンはスンニ派50%強、シーア派40%強という構成で、元北イエメンに似た範囲がザイド派シーア派)、元南イエメンに似た範囲がシャーフィイー派(スンニ派)多住地域となっている。シーア派最多のザイド派は全国民の三分の一ほど。都市部は混成度が高く、平時はシーア派とスンニ派が同じモスクで礼拝をする、平和的な共生の文化があるという。

 

各地で対立が起こるとき、宗教的理由で対立は発生しない。ある宗派の特権階級側と一般市民の間の、富の偏りからの不満にはじまり、政治的変化を求め団結する際に、同じ宗派で集まるということのようだ。フーシ反体制派も、選挙公約を履行しないハディ政府に対して退陣を要求したというのだから、ごく政治的である。

例えば、自分の生活社会における理不尽や現政府に対して批判を持つということが、政治的活動、強いては武装化の原点にあるはずで、実際は穏健x強行、世俗x保守、民主化x王制強権維持、そういった政治的対立が、宗派対立に転化されてしまっているということになる。

 

フーシ反体制派の例では、そもそもはザイド派の復興運動であったものが、度重なる内戦を経て武装を強化、2004年夏に武装組織となっている。アラブの春以降の政情不安を機に急速に支配地域を拡大し、現在に至る。イランの後方支援を受けているとされるが、ヒズボッラーやハシド=シャアビに比べるとその程度は微々たるものであるとのことだ。それでも、フーシ反体制派占領以降、サナアの街頭にホメイニー氏の肖像写真も目につくようになったという。

戦後イラクでは、民主選挙導入による票の獲得の必要上、それまでは政治的問題と切り離されてきた民族と宗派の問題が、利用されては激化するという「スパイラル」に陥ったという報告がある。宗派に限らず、政治思想の差別化は選挙に伴うもので、イエメンにしても、1990年の南北統一、普通選挙・政党政治導入までイスラーム主義の活動自体なかったという(在外過激派の帰国という要因もある)。票の獲得の論理は、反政府運動時の支持層の拡大にも利用されるはずだ。北部都市でホメイニー師の肖像を掲げたフーシ派は、今後、南部都市ではどのような方法で支持層の拡大を試みるのだろうか。

ある宗派の集団が他宗派地域に勢力範囲を広げるということは、その地域がその宗派の支配下に入るということで、また社会内での宗派の不均衡が生まれ、宗派的対立を助長することになるのではないか。

北イエメン統一後も現在に至るまで、政府軍部においてザイド派は有力であり、フーシ反体制派が全国展開すれば南部市民の反発は必至であり、分離独立運動や過激派の勢力拡大に発展しかねない。実際、南下してくるフーシ反体制派に対抗する、反フーシは多数で、その一部はフーシ反体制派に対抗するためAQAPへ流れている(つまりその層はフーシがくるまでは入っていなかった)。何かに反対である自分を見い出すことは、人間にとってより簡単だ。こういう、そもそも過激思想ではなかった者が過激派に取り込まれて行く流れは危険である。そして、反フーシと言っても南部分離主義者やアル=カイーダだけではなく、アル=カイーダから分離したアンサール・シャリーアムスリム同胞団系、ハディ支持民兵組織、人民委員会など多数あり、反フーシ同士でも例えばイスラム国イエメン支部とAQAPは敵対関係にあり、ハディ支持からフーシ支持に乗り換える一派もあり、と事態は複雑である。国連にしても、ハディ氏を支持している以上、反フーシであるが、スンニ過激派の成長は望ましくない。ムスリム同胞団系は王制諸国にとって脅威だが、イランの影響圏拡大はより大きな脅威である。複雑ながらもある程度明確だった対立構造が、アラブの春以降流動化しているという側面もあるようだ。

 市民も周辺国も、複雑な利害の中から最優先事項を選ぶことによって支持団体を選ぶ、というところだろうか。

支持政党の全ての政策に賛成しているとは限らない民主主義政治でも同じことだが、結局はリーダーのカリスマがものをいうような、我々大衆の思想的軟性体質とでもいうべきものが支持/所属する団体/大義の転化を気安く許してしまうのではないか。

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※略式勢力図

 

宗教色の薄い社会で暮らしていると、同じ宗教なのになぜ対立するのか、などと単純に疑問を持ってしまったが、考えてみれば、同じ疑問は異なる宗教間や部族間の対立にも言えることである。例えばキリスト教イスラム教が対立する時、例えばツチ族フツ族が対立する時、宗教が違うから、部族が違うからということがそもそもの対立の動機ではないはずだ。やはり社会の不公平感から生まれた不満・不安が、攻撃対象と帰属グループを必要として、対立する為に対立の組み分けがされる。そして組み分けが対立を明確化する。

 

しかしイスラム教が他の宗教よりも深刻な宗派対立を抱えていることは確かだ。教義上の差異は小さく、和平時には一般市民の間で宗派など問題にもならないそうだが、一方で、宗派対立は他の宗教とは比較にならない多さである。それはつまり、他の宗教よりも問題のすり替えをされ易い構造があるということで、この理由として、まず思い浮かぶ他宗教との違いは、宗教と政治の関係だ。政治と宗教が密接だから政治の問題が宗教の問題にすり替えられてしまうのではないか。宗教的共同体としてのイスラム社会の管理と、政治的共同体としてのイスラム諸国体と、完全に切り離して管理できればもっとうまく行くんじゃないかなどと考えるのは単純すぎるだろうか。

 

 

解決案

 

・宗派対立のスパイラル打開

宗派確執のない閣僚構成(意図的な宗派バランスの均等配分は問題を強調するという※「1990年代のパラドックス」)、宗派を超え支持を得られる強い政策

・イエメン国民というアイデンティティの強化

 過去の分断内戦による亀裂を解決する為には、宗派や部族ではなく国家単位での自意識を強化する必要があるのでは。もちろん軍事的にではなく、文化や経済発展などで。

・宗派を超えた民主化運動

歴史から来る対宗派不信は、若い世代が乗り越えて行くべき。若年層が中心になって宗派を超えた民主化運動で団結できないか。現時点ではアラブの春は結局混乱を生み出したように見えるが、もっと緩やかな民主化運動なら、違う結果が得られるのではないか。

・対過激派で団結

 どの宗派でも度を超えた過激派は歓迎されていないはず。宗教指導者は教義に反する過激思想により厳しく対応し、イスラム教の良い面・本来の価値を国際社会にアピールするべきではないか。

(そんなに簡単なことではないから困っているのだろうが、平和な国の楽天家による解決案ということで、ご了承ください)

 

その他

 

色々とネット検索をしていると英字のイエメン新聞を発見。各ニュースは目立った偏りなく、欧米報道と似たような内容が報じられているようなので、中道左派ぐらいだろうか。

http://www.yementimes.com/en/1870/news/

アラブ医療会議で若年最優秀外科医として表彰された30歳の女性についてなど、色々興味深い記事があったが、中でも一番気になったのがイエメンの文学活動について。国内の政情が不安定化が進む今年、国文学の販売数が増加しているという。

識字率の低さや、政府による援助の欠如などの理由で、作家にとって国内の状況は厳しく、特に2011年の蜂起以降、政府による援助が完全になくなっているという。『マーケティングなどのノウハウもないイエメンの出版社で本を出しても何にもならない』と、自身はレバノンの出版社Difafより小説「Memory's Insects」を昨年出版したガマル・ハサン氏。同氏はまた、20世紀後半のロシアを例に挙げ、社会的困難は文学の為の理想的な環境だとも話す。

アラブ世界の文学といえば社会リアリズムが定番であったが、近年はより複雑なテーマに移行してきている。宗教とジェンダーの公平さなど、保守的イエメン人にとっては相容れないテーマを扱う者もある。読者が自分の国についての、自分を関連づけることが出来るテーマの小説を求めていることが、国文学ブームの兆しの理由に挙げられている。

作家やタイトルなども挙げられていて、翻訳があれば色々読んでみたいと思った。

http://www.yementimes.com/en/1870/report/4991/Political-crisis-and-Yemen’s-literary-resurgence.htm

 

 

感想

一週間の付け焼き刃でイエメンのイの字を齧った程度なので、誤った記述や、とんちんかんな意見があるかと思うので、訂正や批判をしていただければ嬉しく思います。

少し調べ始めると分からないことだらけで、もっと色々調べたいと思い始めるのですが、毎週新しいテーマにしようと思っているので、イエメンはとりあえず今日まで、明日からは何か別の時事にまた1週間注目したいと思っています。この政変に一段落が付いたときにはイエメン第2弾をやりたいと思っています。読んでくださった方、お付き合い頂きありがとうございました。

 

 

参考記事(閲覧日時順)

http://www.zeit.de/politik/ausland/2015-03/jemen-usa-soldaten-abzug#comments

http://www.zeit.de/politik/ausland/2015-03/jemen-hadi-saudi-arabien-intervention

http://www.zeit.de/politik/2015-03/jemen-un-sicherheitsrat 

http://www.thenational.ae/opinion/houthis-seek-to-impose-a-new-reality-on-yemen

http://www.zeit.de/politik/ausland/2015-03/jemen-sanaa-un-sondersitzung-usa

http://www.faz.net/aktuell/politik/ausland/afrika/terror-im-jemen-die-letzten-amerikaner-ziehen-sich-zurueck-13497820.html

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84725670T20C15A3000000/

http://www.faz.net/aktuell/machtkampf-im-jemen-teherans-triumph-13505623.html

http://www.airforcetimes.com/story/military/2015/03/21/yemen-officials-us-forces-evacuate-as-al-qaida-takes-city/25138517/

http://www.yementimes.com/en/1870/news/4996/Lahj-AQAP-launches-deadly-assault-US-withdraws.htm

http://www.spiegel.de/politik/ausland/jemen-islamischer-staat-gegen-al-qaida-gegen-huthi-rebellen-a-1025194.html

http://www.sueddeutsche.de/politik/islam-was-schiiten-und-sunniten-trennt-1.840806

http://www.badische-zeitung.de/ausland-1/machtgerangel-und-hass--74326457.html

http://www.spiegel.de/politik/ausland/saudi-arabien-schliesst-wegen-krieg-flughaefen-nahe-dem-jemen-a-1025667.html

http://www.spiegel.de/politik/ausland/jemen-huthi-rebellen-vertreiben-praesident-hadi-nach-dschibuti-a-1025623.html

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-29319423

http://www.zeit.de/politik/ausland/2015-03/jemen-intervention-saudi-arabien-krieg

http://www.spiegel.de/politik/ausland/jemen-saudi-arabien-bildet-koalition-gegen-iran-und-die-huthis-a-1025632.html

http://www.fr-online.de/politik/buergerkrieg-im-jemen-saudi-arabien-weitet-angriffe-aus,1472596,30233694.html

http://www.dw.de/flächenbrand-im-jemen-weitet-sich-aus/a-18344766

http://www.faz.net/aktuell/politik/ausland/saudi-arabien-koenig-salman-stimmt-auf-langen-krieg-im-jemen-ein-13511212.html

http://www.zeit.de/politik/ausland/2015-03/jemen-vereinte-nationen-saudi-arabien-diplomaten

 

その他参考サイト

http://d-arch.ide.go.jp/idedp/ZWT/ZWT201405_007.pdf

http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2007_04_15_02.pdf

http://www2.jiia.or.jp/pdf/resarch/H24_Arab_Spring/04-matsumoto.pdf